第89章

夢のハッピーバレーは、市街地でいちばん大きい遊園地だ。

ここは子どもたちの楽園。あちこちに着ぐるみスタッフがいて、ジェットコースターの悲鳴は半径1kmの空気ごとひっくり返しそうな勢いで響き渡る。

そして名物の「超ロングすべり台」。

四、五階建てのビルくらいの高さがあり、てっぺんから一気に滑り降りれば――心臓が口から飛び出しそうなスリルが味わえる。

蒼海は眉をひそめた。

人が多い。陽気が強い。とくに子どもが多い場所は、幽霊にとって居心地が悪い。

「俺、どっかで寝てくるわ」

蒼海は神崎雅志と神崎晃をちらりと見る。父子そろってボディーガードみたいに張りついているし、自分の出番はなさそ...

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